激動の2025年を振り返る。物流M&Aの嵐は、運送事業者にとって「脅威」か「好機」か?
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昨年の物流業界を象徴するトピックの一つにM&AやMBO(経営陣による自社の買収)がありますね。別の業界をみると、例えば医薬品業界では卸、そして小売店へだんだんと業界が集約されていっていきました。物流業界でも同じように企業統合が進むのでしょうか?これまでのおさらいと、今後の予想をしてみたいと思います。
1.目立つ日本郵政グループの大型案件
昨年特に印象に残ったM&Aといえば、トナミホールディングスの日本郵便傘下入りと、それに続く日本郵便のロジスティード(旧 日立物流)への出資でしょう。すでにJPロジスティクスを傘下に収めている日本郵便が、同じ特積みで西日本から中部圏に強みを持つトナミグループを創業家や経営陣と協力しグループに迎え入れたことは、業界に衝撃を持って受け止められました。さらに、3PLに強みを持つロジスティードの株式の19.9%の取得を表明したことで(成立は2026年1月)、明確に物流事業を強化していく方針を世間に示しました。
今後ますます困難になっていくであろう長距離輸送力の拡充と、日本郵政グループが総合物流企業を目指す上で不可欠な、3PLを中心としたロジスティクス事業の補完が目的です。またトナミグループ、ロジスティード両社とも海外物流を手掛けていることもポイントです。日本郵便はすでにオーストラリアのトールホールディングスを傘下にしていますが、国内経済が先細りする中で、海外での売上高拡大を進めたいという狙いも透けて見えます。
日本経済のパイが縮小する一方で、あらゆるコストが上昇する中で規模の追求は解決策の一つです。グループ入りしたトナミや資本関係を結んだロジスティードにとっても、日本郵政という大きな力を持つ集団に属することは大きなメリットがあります。トナミグループにとっては単体では限界があった3PL事業拡大のための設備投資や海外事業の拡大、ロジスティードは輸送能力の強化が実現します。今後のかじ取り次第ではありますが、迎える側・迎えられる側双方にとってメリットがあり、手を取り合って事業拡大を目指す方向性がみえます。
2.荷主企業の機能切り出しも
大型案件では、SBSホールディングスのブリヂストン物流買収と、丸全昭和による日東富士運輸買収、安田倉庫の帝人物流買収など荷主企業による物流部門の売却もありました。これは自社中心で物流を組み立てても荷物量に限界があるため、物流企業に切り出すことで、多くの企業との共同化や集約などが実現することを期待し、安定的な物流を維持したいという考えです。買う側の物流企業にとってもこれまで持っていないノウハウを獲得できるというメリットがあります。既存の事業との相乗効果を追求する場合や、新たに獲得したノウハウを磨いて新規顧客を開拓する場合など、荷主から見れば第三者である物流企業を通すことで、共同化を推進しやすくなることが期待できます。
ここまでは大きな話だけを見てきました。ただ物流企業の約9割は中小零細企業といわれています。このような企業にM&Aは関係ないのでしょうか?先ほどM&Aの理由の一つに規模の追求があるとお話しました。そう考えるとむしろ中小零細企業の方がそのメリットは大きいといえます。上場企業のようには報道にはでませんが、足元では中小物流企業同士のM&Aも増えているといいますし、お客様と話していてもそういった事例をよく聞くようになりました。新規地域の進出や、持っていない機能の補完といった大型案件と同じような場合もありますし、単純に企業同士が一つになり、より事業規模を大きくするという場合もあります。いずれにせよ、コスト高やドライバー不足が進行する中で、ある程度の企業規模が必要とされているといえそうです。
物流を取り巻く外部環境を考慮すると、車両・人件費・燃料の3つのコストは今後も上昇を続ける可能性が高いです。一方で、日本全体の貨物量は人口減少もあり緩やかに減少を続けています。これまでは、営業用トラックの輸送量は自営トラックなどからの転換もあり一定程度を維持してきました。ただし今後、貨物量全体の減少が続けば営業用トラックの輸送量も減少していくことになります。2024年4月から施行された年960時間の残業時間上限規制もあり、少ないドライバーで長時間労働を行って業務を維持するというビジネスモデルは成立が難しくなってきます。
3.まとめ
本日はM&Aの動向について話してきました。このような環境下ではどのような企業も買う側・買われる側どちらにもなる可能性があります。前提条件確認のためでも、皆さんも、労働時間や積載率、車両1台当たりの収益性など改めて確認してはいかがでしょうか?では本日はこの辺で!
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この記事を書いた人
日野コンピューターシステム株式会社 ソリューション推進部 部長 重藤




